5. 農業観点からの山地酪農




前の章では、牛乳を購入する側の観点から説明しました。この章では、農業や環境という観点からキーワードだけ説明します。

キーワードに限定するのは、農業に関わる研究家、ジャーナリストでもなく、ましてや酪農を営んでいるわけでもない私が書くのはあまりにも
おこがましいためです(ここまででも十分におこがましいですけど)。

(1)土地の有効活用
山地酪農といえば起伏のある山間部に牧場があることが特徴です。牧場というと広い平原を想像しますが、山地酪農の放牧地は山あり谷ありです。
これは、国土の大半を山間部が占める日本の形状を考えた場合、作物を植えるには適していない山間部に牧場を開いて有効活用できることは
大きなメリットです。

(2)自給率向上
牛は日本にいるものの、牛が食べている草、配合飼料は輸入に依存しています。従って、えさまで含めて牛乳の自給率を考えると低くなっています。
その点、山地酪農では田野畑村内に生えるシバ、草しか食べないため、自給率が極めて高くなっています。
また、輸入される牧草、配合飼料を使わないということは、防腐剤、防カビ剤、抗生物質、遺伝子組み換えなどの用語とは無縁であることに加え、
海外の飼料価格高騰による影響を受けないことを表します。

(3)土地への還元
海外で穀物を収穫すれば、そこの土地から養分が収奪されます。その穀物を飼料として日本に輸入してしまえば、一方的に収奪するだけです。
糞という形で還元することはできません。また、畜舎飼いの場合、土地の広さに対して牛の頭数が多すぎるため、日本国内で単純に還元すると
土壌汚染につながりかねないため、家畜排泄物法に則って適切に加工、処理しなければなりません。
その点、山地酪農の場合、適正な広さの放牧地で牛が随所に糞をするので手間暇をかけて管理せずとも土地に還元されます。まさに循環農業です。

(4)牛の耐用年数が高い
配合飼料を与えて畜舎で飼う一般的な酪農では、年に 5,000 kg 以上搾るのが通常で、最近では 20,000 kg という数字も出ているそうです。
効率は非常によい反面、牛への負担が重いため、2、3 年しかもちません。
その点、山地酪農の牛は体への負担が少なく、健康的なため、5、6 年は当たり前、10 年を超える牛もいます。

詳しくは、田野畑山地酪農牛乳のホームページ、農業畜産振興機構のホームページ、または参考文献をご覧ください。

(13 年 9 月 26 日)


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